東京のgizmo様
CD95:フルチューン

CD-95をヤフーオークションで手に入れました。
早速聞いてみると、滑らかでいい音なのですが、個人的には高域がまろやか過ぎるように感じました。
CD-34で水晶交換により高域が伸び、好結果でしたので、早速チューンに手をつけました。

CD-95の水晶発振器を高精度な物へ変更し、リクロック。また、オペアンプとIV変換部の帰還抵抗変更を行いました。
※チューンに関しては各人の責任で行ってください。壊れても責任は持てません。
1.水晶発振器の変更
開けてみると、CD-95は贅沢な部品を使っています。
基板は、大まかに、アナログ+電源部、コントロール部、 デジタル部、DAC部に分かれています。

デジタル部の基板はサイド部分に取り付けられており、トランスポートからきたRF信号が入っており、SAA7210OPで処理された後、最終的にデジタルフィルタであるSAA7220OPからコネクタを介してDAC部の基盤に入っています。

※写真はデジタル部の発振器を取り外した後のものです。
デジタル部基板
Photo1 デジタル部基板
元の発振器は11.2896MHzのものがSAA7220OPの10番と11番ピンに接続されています。

リクロックも行いますので、33.8688MHzのクロックを3分周して使うことにします。
これはNagasほーむぺーじと全く同じです。

Fig1 元の発振器回路
水晶発振器は、プラクト・サウンド・システムさんから三田電波製高精度水晶発振器の33.8688MHzを購入しました。

回路は、 Nagasほーむぺーじのものを元に使わせていただきました。変更部分は、分周後の出力のLをはずし、10pの積層セラコンと100Ωの反射防止抵抗をつけました。

ユニバーサル基板に発振器、分周、リクロックの回路を組みました。電源はとりあえず、デジタル基板の5Vから取ることとしましたが、今後、専用電源基板を作る予定です。

Photo2 発振器分周&リクロック回路
元の回路にある、水晶発振器X501、R510、C511、C512をはずします。
その上で分周された11.2896MHzの出力を、SAA7220OPの11番ピン(XTL IN)に接続します。



この段階で試聴をすると、予定通り、綺麗に高音が伸びています。定位も良くなりました。
ぐんといい音になりました。

Photo3 クロック入力部
2.リクロック
CD-95はデュアルチャンネルのDAC、TDA1541を2個使用しており、最初はパラで使っているのかと思いましたが、TDA1541の27番ピン(OB/TWC)の接続でモードが変更できるようです。
CD-95の場合+5Vに接続してあり、【time MUX TWC】 というモードのようです。
詳細はPhilipsのページよりTDA1541のデータシートをダウンロードして確認してください。
モードにより4番ピンに入力すべき信号がSCKの場合とDATA R の場合があります。
TDA1541 一個でLRのDACとしている場合、27番ピン(OB/TWC)は-5Vに接続された【simultaneous】というモードであると思われます。実際の回路の接続も確認してください。

Fig2 リクロック
CD-95の場合、デジタルフィルタの SAA7220OP がコネクタを介してDACの TDA1541 と接続されており、Photo4のWCKとBCKを接続しているケーブルの間にリクロック回路を入れることとしました。

リクロック回路はNagasほーむぺーじのものと同じです。出力に反射防止に100Ωの抵抗を入れています。
ただし、 WCKとBCKのみをリクロックするので、HD74AP74Cは一個のみとしています。

Photo4 デジタル基板コネクタ部分
試験できるように切断したケーブルの間をコネクタ接続とし、リクロック回路と接続しました。
何か問題があっても、コネクタを接続しなおすだけで元の回路に戻ります。

実際に、最初バッファであるVHCU04の半田に一部不良があり、コネクタにしたことで確認作業がやりやすかったです。


試聴したところ、ステージが広がりました。

Photo5 デジタル基板とリクロック回路
3.IV変換部のオペアンプと帰還抵抗変更
CD-95のDAC基板にある、IV変換部にはJRCの2回路入りオペアンプNJM4580Dが2個使われています。
これをプラクト・サウンド・システムさんから購入したOPA627APに変更しました。

OPA627APは1回路ですので、 元のオペアンプ部分にICソケットを着け、変換基板をできるだけ小さく作り実装しました。

4ヶ所ある帰還抵抗部分もプラクト・サウンド・システムさんからモルガナイトを購入し変更しました。

適当な値が無いということで、選別いただいたものをお送りいただき、それぞれ2本合成で使っています。

Photo6 DAC基板(IV変換部チューン済
4.アナログ部のオペアンプ変更
CD-95では出力にJRCの2回路入りオペアンプNJM4580Dが2個と、1回路入りオペアンプNJM5534Dが2個が使われています。

これもプラクト・サウンド・システムさんから購入したOPA627APに変更しました。

Photo7は交換後のものです。

青で囲んだところが4580Dが着いていたところで、元のオペアンプをはずした所にICソケットを取り付け、変換基板でOPA627APを2個づつ取り付けています。

赤で囲んだところはNJM5534Dが着いていたところです。こちらはOPA627APとピンの位置は同じなので、元のオペアンプをはずした所にICソケットを取り付けOPA627APをそのまま取り付けています。

Photo7 電源+アナログ部基板
5.完成と試聴
完成したところで、Photo8のように組み込みました。追加した基板はデジタル部の上にモールドと両面テープで固定しましたが、再考する必要もありそうです。
とりあえずは良しとします。

試聴結果は、水晶発振器交換とリクロックで力強さを若干失っていたと思えた低音に、暖かさと力強さが戻り、静粛性が上がりました。
元と比べると更に素晴らしい音になりました。

Photo8 完成組み込み
6.謝辞
今回のチューンに関してもプラクト・サウンド・システムさんには大変なご助力をいただき、素晴らしい部品とノウハウをご提供いただきました。
本当にありがとうございました。

こちらこそ、分かり易く詳しい説明をありがとうございます。
リクロックとアナログパーツの交換で古い機械が生き返る様が、皆様にもお分かりいただけると思います。(岡本記)




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