横浜のS様 : LinkDAC3 アップサンプルボードのクロック交換


S様はLinkDACⅢのアップサンプルボードのクロックを高精度発振器に交換されました。そのご感想をいただき
ましたのでお許しを得てここに紹介させていただきます。



DACはMSBのLINKDACⅢ、オプションのアップサンプリング基盤を装着したもので、オペアンプの交換や電源
の強化等すでにアナログ部分の対策はある程度施したものです。
アップサンプリング基盤の水晶発振子は三田電波製がそのまま刺さる規格ソケットに装着されており、簡単に
交換できますので、差し替えながら音の変化を試聴しました。

ちなみにもともと刺さっていたものは、33.0000MHZで、交換したものは今回購入した33.8688MHZです。
(そのため、今回の交換は高精度化のみならず、整数倍アップサンプリング化の効果も含まれていると思われます)
この音の変化は、なかなか表現が難しいのですが、一言で言うと「雑味がとれる」というのが一番適当な感じが
します。たとえて言うと、きつい味の新酒を燗したり、ワインをカラフェに移して雑味をとったり、沸かしたばかり
の新湯を湯揉みしたり、〆たばかりの魚を寝かせてうまみを出したりする効果に近いものがあると思います。

すなわち、いわゆるCDの「音の悪さ」を、ある種の平板さ、詰まったような抑圧感のある音になりやすいこと、
抜けの悪さ、楽器や声の質感の違和感、空気感が出ないこと、中高音が硬くてきつくなりやすいことなどを指すと
すれば、こういった「音の悪さ=雑味」を取り除く方向で作用しているように感じます。
簡単に言えば「耳につく」部分が取り除かれ、ごく自然にのびのびとやわらかく、さらりとした感じで聞こえる
ようになりました。

結果として、上記「CDの音の悪さ」とされる部分の音質の向上が見られるわけですが、私個人的には「情報量
が増える」という足し算の効果よりも、「雑味、マスクがとれる」という引き算の効果が大きいように感じました。
ですから、何か新しい音が聞こえてくるという、一般的なグレードアップと同じような効果を期待していると、
肩透かしの感を受ける可能性もあると思います。
(高精度クロック無用説はこのあたりに起因しているように思えます。)
(ただし、これは装着2日後の感想で、装着後も音が変化してきているように感じられます。しばらく様子をみて、
又落ち着いてからレポートしたいと思います)

なお、クロック交換後、これまで聴くのが苦痛だったCD臭い音のCDをいくつかかけてみましたが、いずれも非常
に聴きやすく、美しい音に変わっているのを確認しました。また、CDの音が、FMやテープ、レコードなどの
アナログ系の音質に近くなりました。レコードとCDともに持っているものを視聴してみると、CDからこれまで
レコードでしか得られなかった雰囲気や、聞こえなかった音が聞こえてきたのにも驚きました。

いずれにせよ、クロック交換で単純なグレードアップでは得られないかなり本質的な部分での音の改善が見られたと
思います。おかげで、もうもとには戻せなくなってしまいました。






その後、S様から、CDPへの高精度クロック搭載のご報告もいただきました。


さて、あのあと、バージョンアップから帰ってきたVRDS−25XSに、クロック交換の改造を施し、そろそろ音質的
に安定してきたようですのでご報告しておきます。

ご存知かとは思いますが、25XSのバージョンアップについては賛否両論ありまして、バージョンアップによって非常
に細かい音が出て情報量が増える一方、この機種独特のガッツのある熱い音がなくなり、やや分析的な、ハイ上がりの
淡白な音に変わってしまうという問題がありました。
これは我が家でも確認でき、しばらくの慣らし運転で音がほぐれてきたものの、やはり音の陰影が浅くなったのは否め
ませんでした。そこで、先日オーダーしましたクロックの取り付けを行いました。

改造自体はごく簡単な部類だと思います。クロックの取り付け位置は、なるべく元クロックのすぐそば(クロック出力線
が4センチ程度に収まる位置)にしました。改造後一発で作動しましたので、早速音出ししましたが、DACのときとは
比べ物にならない変化が聞き取れました。

まず、全ての音の間にあったもやつきがすっきりと取れ、くっきりとした音像が浮かび上がってきました。しかも楽器間
の音量バランスがはっきりと分かり、また位置関係が非常に良く分かります。クラシックの室内楽などでは、楽器の配列
のみならず、音源の高さまでイメージできるほどの生々しさが感じられました。それは交響楽などでも同じで、フォル
テッシモの音の壁の中の豊かな響きと楽器群の音の粒立ちとが、ばらばらになることなく溶け合いながら、はっきりと
判別できるようになりました。

また、左右スピーカーの間隔が広がったのかと一瞬勘違いするほどに、音場が広がり、定位が鮮明かつ広大に決まるよう
になりました。スピーカーの外側の定位がすっきりと決まるようになったのには驚きました。最初はこういった変化が
聞き取れましたが、一週間ほどのエージング(最初の一日はリピートでかけっぱなしにし、それ以降は電源入れっぱな
して、随時各種CDをかけて音の変化を楽しみました。)で、さらに別の効果が確認できました。それは持続音がすばら
しく滑らかで美しくなったことです。女性ボーカルや弦楽器の管楽器のサスティーンは、CDの一番苦手なソースで、
ややもすれば荒れ、ヒステリックでかつ膜がかかったような再生になりがちでしたが、これがじつに滑らかで自然な音に
変わりました。

このことによって、これまで聞くのが苦痛だったCDが実はとてもみずみずしい音で録音されていることがわかり、いろ
いろと(わざと)敬遠していた音源でいろいろ確かめてみたほどです。
あとは、低音の分離と張りの美しさが出てきたことで、ティンパニの皮の張りと震えや、ベース楽器群のニュアンスが
良く聞き取れるようになりました。
これらから、音楽自体が大変明快で抑揚のある音で再現され、上記の分析的な冷たさはどこかに消えてしまいました。
もちろんバージョンアップ前のややもすれば一本調子で突っ張った表現はなくなり、完全にワンランク上へのグレード
アップになったと思います。
(というよりも、ハイエンドは別としてこれだけの音が出る機種はそれほどないように思います)

なお、一つ追加でご報告ですが、上記クロックの出力線の材質、クロック基盤への電源線の材質でも相当に音の傾向が
変わること、またその変化の方向は、これら線材のアナログでの音の傾向に非常に似ていることかわかりました。私は、
上記クロックの各種配線を当初、添付していただいていた銀メッキ線で配線しましたが、これは銀線特有の繊細さ、音場
の深さが出る一方、ジャズやロックを聴くのには上品過ぎる感じがしました。
そこで、8Nの銅単線にこれを変えてみると、Fレンジは狭くなったものの、音がぐいぐい前に飛び出してくるように
なり、現在はこれで聴いています。

考えてみればデジタルチューニングになぜ線材が関係するのか不思議ですが、おそらく同様の変化を皆様も聞いていらっ
しゃるのではないかと思います。



S様、さぞすばらしい音をお楽しみのことと思います。
ありがとうございました。





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