藤沢市の小関様
CD72：クロック交換、その他アナログチューン
はじめに
中古ショップでMarantzのCDプレーヤCD72を見かけた。家に帰ってネットで調べると、メカはスイングアームの
CDM4使用とのこと。
早速購入し、音を聞いてみる。滑らかでゆったりした音。まるでアナログプレーヤのような雰囲気だ。よく聴くと細かい音まで正確にでている。スイングアームの潜在能力の高さを感じる。
改造の可能性についてPractさんに相談した結果、このCDプレーヤはリクロックの必要がない（できない）構造
であり、水晶発振器を交換するだけでよいことがわかった。
改造内容と結果
せっかくなので水晶発振器以外も改造しようと思い、以下の項目に従い改造することにした。
目標として、マリア・カラスの声が深く陰影を含んで響くようにして音楽の感動がよりいっそう深まることを掲げた。
(1)アナログ回路 出力バッファ部の改造
アナログ回路は
DAC：SAA7350、 I/V変換：NJM2114D(1/2)、 ローパスフィルタ部：NJM2114D(2/2)、
出力バッファ：NJM5534
の構成である。
まず、出力バッファのICをNJM5534からPractさんから購入したOPA627APへ変えてみた。ピン配置が同じなので、単純な部品交換だけである。
結果はもの凄い変わりようである。マリア・カラスの声はやや雑味をおび、低音の妖しさが増してくる。高音がなくなったようにも感じるが良く聴くとそうでもない。音の重心が下がったのだ。あまりの変化に驚く。高価なオペアンプOPA627APはダテではない。
(2)電源の強化
電源はデジタル及びサーボ用電源とアナログ用電源の二つからなっているが、トランスは共通であり、2次巻線以降から分かれている。整流ダイオードをすべてショットキ・バリヤ・ダイオードに交換した。
また電源部のコンデンサはすべてOSコンに変更した。
尚、容量的にOSコンで対応できない箇所はMUSEを使った。容量は改造前と同じ容量とした。結果は低音が豊かになり音が滑らかになった。背景の雑音が取れた感じだ。ショットキ・バリヤ・ダイオードの効果が大きいと思う。
(3)水晶発振器の交換
Practさんから購入した三田電波製高精度水晶発振器(11.2896MHz)に交換した。
電源はデジタル及びサーボ用2次巻線から取り出した。水晶発振器と一緒に整流用ショットキ・バリヤ・ダイオード、3端子レギュレータ等を載せた専用基板を設けた。
結果は、先に皆さんが御報告されているとおり、音の立体感、実在感が別次元の素晴らしいものである。しかしエージングがまだなので高音がチャラチャラするのが気になる。
(4)アナログ回路 I/V変換部及びローパスフィルタ部の改造
I/V変換及びローパスフィルタ部のICをNJM2114DからOPA627APへ交換した。これらのICはピン配置が異なるため交換に手間取ったが、Practさんのご指導によりサブ基板にICを載せる方式としてなんとか交換することができた。
結果は？、大きく変わった。高音のチャラチャラした感じがウソのようになくなり実に深い音がする。解像度が高く定位も良い。なにより音楽の陰影を深く表現してくれる。陰陽のダイナミックレンジが拡がった感じだ。目標とした効果が得られたと思う。エージングで音が更に良くなり、音楽の感動が増していくのが楽しみだ。
(5)電源ケーブルの交換
未着手。着脱式にするかどうかを検討中である。
まとめ
水晶発振器の交換は大きな効果がある。これは皆さんの御報告のとおりです。
更に感じたのはアナログチューンの効果が予想以上に大きかったことです。音の変わり方の傾向は水晶発振器とアナログ回路では全く違います。アナログレコードに例えるなら、水晶発振器の交換はカートリッジの交換に、アナログ回路の改良はフォノイコラーザー回路の改良のようなものです。やはり両方共改良することが効果的と強く感じました。
今回の改造ではスイングアームの潜在能力を生かし、より音楽性の高いCDプレーヤとすることができたと思います。
改造にあたりご指導いただいたPract Sound System岡本様、本当にありがとうございました。
こちらこそ、大変詳細なご報告をありがとうございましたm(_ _)m（岡本記）
使用システム
・CDプレーヤ：Marantz CD72（今回改造品）
・プリメインアンプ：アキュフェーズ E307
（プリ部電源改造済 ショットキ・バリヤ・ダイオードに交換、電解コン大容量化）
・スピーカ：Madisound製Kit Dynaudio（17W75×2,D-28/2）使用
・RCAケーブル：GINGER CABLE製（オーグライン使用）