スピーカーの逆起電力を可視化し、逆起電力の悪影響をLCM+CPMにて無くせることを確認する

LCMとCPMを効果的に挿入することでスピーカからの逆起電力の悪影響をゼロにできる。
このことを確認した実験結果が出川先生から届きましたので以下、解説いたします。
図面を入れてありますのでできるだけ画面を広くしてご覧ください

実験の内容は次の通りです。

1)目的

スピーカの逆起電力を直接計測することはできないがB電圧が振られているのではないか。それをLCMやCPMを入れることで対策できるのではないか、この2点の検証を試みる。

2)実験方法

真空管アンプにデジタスストレージオシロを接続し、各種条件を変えて波形観測を行う。
測定点は次の2点
 ch1: スピーカ端子出力電圧
 ch2: B電源電圧

3)実験回路

図1 : case 1,case 2


図1は6G4Aシングルアンプの片チャネル(左側)の簡略図です。
電源トランスは図の左下にあり、そこから整流管、コンデンサ、チョークコイルを経て上のアンプ回路にB電圧(250V)を供給しています。右チャネルは図に入っていませんが、何も繋がずにスピーカ端子はオープンの状態です。
この回路で、スピーカからの逆起電力を観測するため、図面右上のスピーカ端子(ch1)と右下のB電圧(ch2)をデジタルストレージオシロに繋いで波形を観測しました。また、(case 1)はスピーカー端子にDaleの無誘導抵抗だけをつけた状態を示し、(case 2)ではスピーカーだけを接続した状態を示しています。

4)実験内容

無信号時、60Hz、120Hz、1000Hzの三角波の4種の信号に対して、次の(A)(B)(C)の3つの負荷状態で計12ケース測定しました。

(A) スピーカのかわりにDALEの無誘導抵抗(8Ω)を接続した状態(図1、case 1)
=>無誘導の抵抗では逆起電力が発生しないことの確認。

(B) オーディオ用スピーカー(タンノイキングダム12:8Ω)(図1、case 2)
=>スピーカ負荷がB電圧に影響することの確認。

(C) (B)の回路にLCMとCPMを各2個追加した回路(図2)
=>LCM+CPMにて逆起電力をゼロにできたことの確認。
図2

5)観測写真

次がこの結果の計12ケースのシンクロ画面写真です。
左から順に抵抗負荷(図1:case 1)、SP負荷(図1:case 2)、SP負荷+LCM/CPM(図2)の3列で、 上から順に無信号時、60Hz、120Hz、1000Hzの三角波信号電圧を入力した時の観測波形です。
各画面の上の波形がスピーカ端子(ch1)下の波形がB電圧(ch2)です。

(図1:case 1)ではそもそも逆起電力はほとんど発生しませんので無負荷でもどの信号を入れてもB電圧ほぼ安定しています。
(図1:case 2)では、無負荷時以外はどの周波数でもB電圧(2h:下側)が同じ周波数で振られているのがはっきり分かります。
(図2)では、LCM,CPMを的確に挿入したことで、どの周波数でもB電圧が動かず全く振られていないことが分かります。

6)考察

このようなデータは現在まで観測されたことも発表されたことも無いと思います。逆起電力対策のないアンプでは逆起電力によりB電圧が振られてしまい、本来の音を出せない状態(再生音が歪んだ状態)になっています。
LCMとCPMを使って適切に逆起電力対策を行うとB電圧は全く振られなくなり、アンプはスピーカーを完全にコントロールできています。

出川式電源には大きく次の3つのポイント(従来電源からの改善点)があります。
①第二世代整流回路によって、従来の整流回路に存在する「10%の音声信号欠落」と「50Hzのノイズ」の重畳を無くし、綺麗な倍音再生が可能になり音の波紋がより生音に近づきます。
②チョークコイルを使った補償回路では、チョークコイルの位相遅れにより電流が欠損します。位相遅れの発生しないLCMを使った補償回路で欠損のない電流を流します(特許No.7422273号)これにより中低域のエネルギー感、解像度が高くて芯のある低音が前に飛んでくる臨場感が生まれます。
③スピーカ(L負荷)で発生する逆起電力の処理回路(LCM,CPM回路実案No-3133340号)
現代のAMPはスピーカの(L)負荷で発生する逆起電力対策がなく、正確に駆動する回路が組み込まれていません。パワーが上がるとスピーカのL負荷で発生する逆起電力が大きくなり、AMPが負けて、音楽を奏でられなくなります。LCM、CPMを適切に入れた出川式アンプは音声信号が正確にスピーカに伝達され、スピード感、立ち上がり、急峻な下がり、倍音が正しく再生され音の波紋がより生音に近づきます。
今回の検証はこの③の部分の具体的な検証です。

アンプのチューニングは是非当店にお任せください。
また、本件に関するご質問は当店までメールでどうぞ。
以上